基本的生活習慣を獲得していく為に、保育の中ではどのような点に注意して援助していけばよいのでしょうか。
今回の記事は、以上の点について0~6歳の年齢ごとにまとめたものになります。
しかし、この年齢はあくまで目安程度のものであり、子どもの発達に個人差がある事は前提です。この点は見失う事のないようにしたいですね♪
それでは早速、基本的生活習慣を獲得していく為に必要な保育者の発達援助のポイントを年齢ごとに見ていきましょう!
~6か月
特に環境づくりが大切になるのがこの生後半年までの間です。ひとりひとりの生活リズムや発達、月齢などの子どもの姿に合わせた適切な環境構成は、この時期から必須の保育条件です。
この環境構成の中には、人的環境も含まれています。むしろ大人が環境の一部として子ども達とどのように関わっていくかがとても大切になります。
食事・睡眠などの生理的欲求を常に満たし、コミュニケーションを積極的にとっていく事で愛着をしっかりと結んでいきたいところです。具体的な場面では、食事やおむつ交換、着替えなどのシチュエーションもスキンシップの大きなチャンスです。常に言葉や表情などでコミュニケーションをとっていきましょう!
また、子どもも自ら外の世界と関わろうとしています。子ども達のチャレンジや興味に合わせて環境を構成したり言葉を掛けていくためには、先生同士の信頼関係や保育のスピード感が必要になります。
※睡眠時、乳幼児突然死症候群の発見の為、睡眠中の姿勢や呼吸には特に注意が必要です。
~1歳
この時期は、運動機能がぐっと高まる時期です。粗大遊びもたくさん出来るといいですね。
赤ちゃんは、寝返り→腹ばい→四つ這い→つかまり立ち→伝い歩き→歩行
と動きを獲得していきますが、適切な時期に適切な援助をしていく事がとても大切になります。特に日本のリビング環境は、背の低い家具が多い為つかまり立ちがしやすい場所の宝庫です。
そのため、四つ這い(ハイハイ)を十分に経験しないまま歩行を始めるお子さんが多い事、も保育の現場ではよく懸念されています。
ハイハイ不足の子ども達は、転んだ時に手が出にくく怪我をしやすかったり腹筋背筋がうまく使えず、ぎこちない動きを見せる事も珍しくありません。
このようなお子さんに対して保育の現場では、歩行完了後でも積極的にハイハイをして遊ぶような環境の構成や、ハイハイを遊びの提案をしてあげる事も大切です。
また揺さぶり運動は平衡感覚を養う為、良いとされていますが、激しい揺さぶりをやりすぎてしまう事は、未完成の脳に強い負荷を かけすぎてしまう為危険です。揺さぶられっ子症候群には十分注意が必要です。
さらに、このくらいの年齢になると難しくなってくるのが食事の場面です。基本的生活習慣の中でも大きな要素である食事の習慣をこの年齢から意識しすぎてしまう保護者さんも意外に多いものです。
食事に手を出してしまい、こぼしてしまう等の場面もよくありますが、いたずらではありません。一方的に叱るのではなく、「おいしい!」「食事は楽しい!」という気持ちを共有しつつ、食べる意欲を一番大切にしていきたいところです。
~1歳半
排せつの自立が始まるお子さんも中にはいらっしゃいますが、特にこの排せつの自立には個人差が存在します。クラスの子のオムツが外れたからと言ってわが子も続けて排せつが自立していくとは限りません。
焦らずに対応していく事が最も大切になります。また、トイレトレーニングを始めてもなかなか進まない場合も多くあります。その子のタイミングを大切にしてあげながら「今は練習中」である事を常に大人が意識しておく事が大切です。
2歳前になると、1日の生活リズムの完成まであと一歩です。日々の生活は安定した習慣的活動を中心とし、積極的な休息をとれるようにしていきましょう。
~2歳
歩行ができるようになったり、言葉の獲得が一気に進む等、人やものとの関わりが広く、深くなっていきます。自分の意志を伝えたいという欲求も強くなっていきます。
欲求の強い表現が増える時期を一般に【イヤイヤ期】【魔の二歳児】と表現したりしますが、保育の現場では自立期と呼ぶ事が多いです。
心身ともに自立していく為の大切なステップとして大人が気持ちを丁寧に受け止めてあげる事が大切となります。
そのため、着脱なども「できた」「できない」といった結果にとらわれるのではなく、子どもの達成感に上手に共感する言葉を掛けてあげましょう。
~2歳半
便意や尿意を感じたり、清潔・不潔が分かるようになります。
自分でなんでもやってみたい!という気持ちは更に強くなるので【意欲】をいかに大切にできるかがポイントになります
運動場面ででハイハイ不足の影響を感じるお子さんにたいしては、「~1歳」の見出しで紹介した援助を引き続き、発達に合わせた形で続けてあげて下さい。
食事も、好きな物・嫌いな物が変わっていったり、よりはっきりしていくる等で難しさを感じる場面もあるとおもいます。しかし、ここでもやはり温かい雰囲気の中で食べる事を楽しむ事を優先していいと思います。
~3歳
排せつの自立がほぼ完成するだけでなく、コントロールする事もできるようになっえtきます。身体発達がさらに盛んになるので、存分に体を動かす事が出来る時間・空間・仲間の「3間」を確保しましょう。
手指の発達により、畳む・ボタンを留めるなどの複雑な生活習慣も獲得される時期です。
この時期には、なるべく多くの「自分でやってみる経験を」より一層提供するとその後の習慣に繋がっていきます。
~4歳
食事・排せつ・睡眠が自らできる事が多くなります。そのためこの段階から本格的に社会的な生活習慣の獲得が始まっていきます。
健康で文化的な楽しい生活が送れるように、家庭や園での集団生活の中で子ども達が自ら社会的な生活習慣の意味や意義に気づき、実行していけるような援助が大切です。
様々な経験と環境を作る必要があるので、園や家庭だけでなく、地域などとも上手に交流したり公共のサービスや場所なども使いながら生活の中でより多くの学び(経験)のチャンスを作っていきましょう。
~5歳
対象の永続性がかなり理解できるようになります。相手の立場になって考えたり、想像する事が出来るようになってきます。
ルールのある遊びや、生活の中で、ルールを守る事を通して、自制心を形成していきます。
大切なのは、「ルールを守らないといけない」「ルールを守らないと叱られる」と子どもが理解する事ではありません。「ルールを守ると楽しい」「ルールを守ると気持ちがいい」という経験を多く積めるようにしていきましょう。
~6歳
食事のマナーを守ったり、身だしなみを積極的に整えるなどの社会的及び文化的な生活を獲得していきます。日常生活の中で大人がやる事をマネして遊ぶ「ごっこ遊び」も知識の増加や、自身のマナーの獲得に伴ってよりリアルなものとなっていきます。
模倣によって周りの大人をマネながら生活習慣を獲得していきます。
そのため、基本的信頼を寄せる事が出来る大人の存在と、その大人自身の立ち振る舞いが非常に大切になります。
思わぬ部分をマネされてドキッとする場面…ありますよね(笑)