絵本「あかいふうせん」の魅力

絵のない絵本
ひとこと紹介

はっと息をのむほどに美しい。時間を忘れて眺めていたいアートチックな一冊。

季節

季節を問わず楽しめます

こんな人におすすめ

・字のない絵本の傑作を探している

・創造力が膨らむ作品を探している

・美的な絵本を探している

基本情報

イエラ・マリ
出版社ほるぷ出版
おすすめ年齢2歳頃から
初版1976年

あらすじ

ぼうやのふくらませた風船がリンゴ、ちょう、お花と変わっていきます。ページを開くごとに新しいできごとが、リズムを持って展開していきます。新鮮な文字なし絵本の傑作。

あかいふうせん – ほるぷ出版 こどもの本のほるぷ出版 (holp-pub.co.jp)

『あかいふうせん』と字のない絵本(渡辺茂男さんによる解説)
おおむかし、わたしたち人類の祖先は、ことばも、まんぞくにしゃべらず、もちろん、文字などなかった時代に、洞穴のかべに絵をかきました。はじめは、狩りがうまくいくように、神さまにおねがいするために、野牛とか熊とか、そのほかの野獣だけの絵をかきました。
この絵をはじめてみた後世の人間は、野獣の力強いさまに感心しましたが、何のために1匹ずつの動物が描かれていたのか、その意味はわかりませんでした。
そのつぎに、野獣と向かい合って斧や弓矢をかまえている人間も絵の中にはいりました。
この洞穴画を見た後世の人間は、すぐにそれが狩りの絵だとわかりました。
これは、絵がそれを見る人に情況を知らせ、何かを語っていたからです。
字のない絵本は、まず絵になる考えと着想がなければ生まれません。つぎに、その着想の展開、つまり構成がたいせつです。形と色と表情で、はじめに何かが始まることをにおわせ、そして、つづくページを開くと、前のページとつながりながら、前のページとはちがう新しいできごとが展開し、それが流れとリズムをもって、クライマックスに読者を導いていかなければなりません。途中で、流れが切れてしまったり、意味のわからない場面があったりすると、そこに、それを説明することばがないだけに、読者は、ついていかれません。その逆に、全体の構成が、あまりにも陳腐で、わかりきった子どもだましであれば、読者は、くりかえし見ようとはしません。
イエラ・マリの『あかいふうせん』は、何回見ても、息をのむほど新鮮で、ため息のでるほど、あかぬけした、心のはずむ傑作です。(児童文学者

あかいふうせん – ほるぷ出版 こどもの本のほるぷ出版 (holp-pub.co.jp)

みどころ

1.息をのむほど美しい

この絵本の魅力は、この一言に尽きます。本当に美しい。むしろ大人向けの絵本だとおもいます。

美しい曲線で描かれた絵の中に鮮やかで鮮明なが目をひきます。

個人的には、あかいふうせんが蝶々に変身するページが大好きです。どちらにせよこの美しさを言葉にするのは無理だと思うので、是非書店などで手に取っていただきたい1冊です。

moma
moma

ラストの傘も圧巻です!

2.僕だけの物語

字のない絵本は、絵だけが情報です。好きなようにめくっていいのです。

満足するまで絵の世界に浸り、そしてわくわくしながらページをめくる。時には物語を想像しながら読む事だって素敵です。

子ども達の中にも、自分で物語を紡いで読む姿をみたりします。自由でなんのルールも縛りもない。正義も悪もないし、正解も不正解もない。そんな想像の世界から今日も新しい物語が紡がれているかも知れません。

moma
moma

想像の世界が本の魅力をもっと引き出す!

3.字はないけれど、物語

ストーリーがあります。字はないけれど、そこに物語がある事を私たちは感じる事ができます。

ただ、美しい絵が描かれているだけではない。これはすべてのページがつながって1つの本という形に収まる事で完成する芸術です。

絵本の先にもきっと物語が続いていそうな感覚があります。

moma
moma

想像の世界は、いつだって自由だ!!

レビュー・感想

まずは、大人がどっぷり絵本の世界にひたってほしいとおもいます。私は、コーヒーを片手に時間を忘れてこの本をめくる時間が好きです。

決して子ども騙しなんかじゃない、本当に芸術的な作品です。時間を忘れて読み込むと、まるで絵の中に吸い込まれるような感覚になります。私は心が惹かれていくとは、きっとこんな感覚の事なのだと思います。

もちろん、美しく鮮やかな赤色は僕らの目を引きますが、黒で描かれた線も本当に繊細で美しいです。

子ども達も、絵本コーナーにこの本があるだけでどこか安心感を覚えるような気がします。少しそわそわして、絵本コーナーにやってきた子が吸い込まれるようにこの本を手に取り、その世界に引き込まれとても満足そうに本を閉じる。そしてまた本を裏返し、はじめのページをめくる。こんな光景を保育園でも何度か目にしてきました。

もちろん、自由に会話を楽しみながら読むのも楽しいですよ!色々な読み方ができるのも本の魅力です。

何度よんでも新鮮で、何度読んでも新しい。それがこの本が発売当初から愛され続ける理由の1つだとおもいます。私もはじめてこの本と出合ったとき、こんなに古い歴史を持つ本だとは思いませんでした。むしろ新しい本だと思ったくらいです。

きっとこれからもたくさんの子ども達と、大人たちに愛されて何度もページをめくられる本だと思います。そしてずっと色あせない名作として読み継がれていくと思います。是非手に取って絵本の世界に浸ってみてください♪

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