昔話の金字塔!
基本情報
作 | 松井直 |
絵 | 赤羽末吉 |
出版社 | 福音館書店 |
おすすめ年齢 | 5歳~ |
初版 | 1965年2月 |
誰もが知る、国民的 昔話だね
あらすじ
昔話の面白さが味わえる「桃太郎絵本」の決定版
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。桃をもちかえって切ろうとしたら、なんと桃からかわいい男の子が生まれました。「桃太郎」と名付けられた男の子は、おばあさんとおじいさんが用意したおかゆや魚を食べて、どんどん大きくなり、立派に成長します。そんなある日、桃太郎は鬼が島の鬼が悪事をはたらいていると聞き、鬼退治にでかけることにします。力強い絵とともに、真の昔話の面白さが味わえる1冊。
ももたろう|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
みどころ!
力強い色彩
まずは、この絵本の”絵”に注目してみましょう。
まるで日本画を思わせるような力強い水彩になっています。描かれる登場人物たちも大迫力で活き活きとしているように思えます。
登場人物の躍動感は本当にすごい!
昔話の良さが詰まった言葉選び
「ばんがたになって、おじいさんが やまから どっさり しばをせおって もどってきました。」
という一文だけみても、その魅力が分かります!
民謡調の語り口調がなんとも温かく優しいお話です。このリズムはとっても魅力的!
子ども達の心をじんわり温めていくイメージをもって読みたいですね。
ハッキリとした動機
「鬼ヶ島の鬼が来て、あっちゃ村で米とった。こっちゃ村で塩とった。姫をさろうて鬼が島」というカラスのお告げのもとももたろうは鬼ヶ島へ向かう決意をします。
単に、「鬼は悪いから退治しに行く」という展開は私も幼心に違和感をもっていました。でもこの物語は鬼が人間のものを奪ったのでそれを取返しに行くという動機付けがしっかりと描かれています。
鬼は悪いものという前提で進まないのが素敵
宝物はいらん。
鬼「お詫びの印に宝物は全て差し上げます。」
桃「宝物はいらん。お姫様を返せ」
このやり取りが僕も大好きです。
鬼の物(=宝物)を奪ってしまうとまるで戦争の様ですが、あるべきものが あるべき場所に戻るという結末がとても自然で良いと思います。
鬼のものは鬼のもの。
家族愛
お話の初めに、おじいさんとおばあさんが毎日真面目に働きながら暮らしている様子が丁寧に描かれています。
そして、2人が互いを思いやり支え合って生きている様子もよくわかります。そんな2人はももたろうも、たくさんの愛をもって育てます。
ももたろうが「鬼ヶ島へいく」と決めたシーンでは「どうして、どうして、おまえは まだ としもとっていないし、こどもだから おになど かてるわけがない」と引き止めます。
しかし、ももたろうが聞かないと分かると・・・
日本一のきび団子・新しい袴・刀・はちまきを持たせ、「日本一の桃太郎」と書いた旗を持たせます。そして「気を付けて」と送りだすのです。大人になってみると、わが子を送り出す親心にもグッときますね。
心配や寂しさと、応援したい気持ちの複雑な心境が丁寧に描かれているよ😢
レビュー・感想
良い絵本は絵を読む事が出来ます。この「ももたろう」も絵を読む事が出来る名作です。
また、言葉の響きが温かく、優しく、昔話の良さが凄く詰まっている絵本です。
ももたろうはかつて戦争(軍事教育)に利用された過去を持つお話ですが、本書は松井直さんが拘りを持って再話した傑作です。「ももたろう」はたくさんの会社から出版されていますが、保育現場ではコレ一択だと私は思います!
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