給食の時間、私の保育園では使用していた食器類を自分で座っているテーブルから所定の場所まで運んで片づけをするのですが、その際に必ずスプーンを咥えて歩く子がいました。(5歳)
「危ないからやめて欲しい!」「転けた時にのどに刺さるよ!!」等と注意するとその時はやめるけれど次の瞬間にはまた同じことをしています。
このシチュエーション、きっとその子は“ついつい”してしまう感じです。
誰かを困らせようとか、傷つけようとは思っていないけれど何となくやってしまう。ある種の癖みたいなものでしょうか。
癖とは形成された習慣の事なので、改善までには時間を要するのが一般的です。なので、毎回怒られているのでは、その子もだんだん先生の「危ない!!」を聞きなれてしまって注意されても上の空になっていき、悪循環です。
どうすればいいのでしょうか・・・そこで、今回は私が実践してよかった2つのアクションを振り返ってみます。
①Iメッセージで伝える。

「伝わる!伝え方の3ステップ!」でもお伝えしていますが、このような場合は”Iメッセージ”を使って伝えるのは効果的です。
特に、注意をしてもなかなか聞いてくれない子の中には普段から大人に注意される事が多くて自己肯定感が低いために、防衛反応の一種として大人の話を聞き流す術を身に着けている子もいます。
このような子達には、たくさんの愛を届けたいですよね。実はこういった”して欲しくない行動を伝える場面”は君の事が大切なんだと伝える絶好のチャンスになる場合があります。
今回は
「スプーンを咥えたまま歩くと、怪我してしまうやろ? ○○君が怪我して保育園に長い間来られなくなったらもう、わたし涙が止まらなくなるわ。泣いて泣いて、保育園が涙で沈むくらい泣いてしまうかもしれない・・・やから止めてくれる?」
とお伝えしました。
なぜやめて欲しいのかという理由の中には、もちろん園での安全危機管理を徹底して法人の信用を高めたいという思いもあるでしょうが、大好きな子ども達には怪我無く元気に過ごして欲しいと願う気持ちもあると思います。それをそのまま素直に伝えるのも大切だと思います。

あなたが大好きだという事は、大人も恥ずかしがらずに言葉にしよう!
②事前支援で成功習慣を形成!!

その子は毎回、食事の後にスプーンを咥えて立ち歩きます。
そこで食事の終わり際に「わぁ、いつも本当にきれいに食べてくれてありがとう!今日もスプーン落とさないようにしっかりと手に持ってってくれる?▶いつもキレイに戻してくれてありがとう!」と声をかけるようにしました。
これは、スプーンを運ぶというアクションを意識的に行ってもらうための声かけでした。
こんな風に声をかけられると、その子もなんだかシャキッとやる気になって、意識的に下膳を行ってくれるようになります。
そうして、無事に現在では習慣の再形成に成功しています。

焦りは禁物!まずは、冷静に状況を分析するところから!
あとがき
Iメッセージと、事前支援は私の中でも保育を考えるうえで大切なキーワードです。
今回は、スプーンの咥え歩きというテーマでしたが、他の場面でも同じような考え方で対応する事で状況が改善される場面があるとおもいます。
私もただ危ないとだけ伝えていた時は「なんで伝わらないんだろう」「もっと真剣に伝えた方が良いのかな」等とすごく悩みました。でも事前支援とiメッセージを意識する事で状況は好転しました。これは僕の中でも大きな学びの1つだったように思います。
もちろん、すべての子に通用する(上手くいく)ような魔法の声掛けはありませんので、ダメなら別の作戦を実行しなければなりません。それは大変な事かも知れませんが大変な分、やりがいのある仕事でもあります。是非その過程を楽しんでいきたいですね。
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