
子ども達が戦いごっこばかりしていて、困っています💦
今回は研修先でも特にご質問の多いこの議題について、私の思うところをざっくばらんに述べてみたいと思います。
まず、一人の子がこだわって戦いごっこの世界を楽しんでいる場合は個別な配慮として「ここでならいいよ」とその遊びを安全に保障していく配慮があってもいいと思います。
そして次のステップとして私自身がこの問題を考える際には、以下の3ステップで考える事が多いです
- 戦いごっこを継続させないための方法を考える
- 戦いごっこが起こる要因を分析する
- それが起こらない環境を構築する
ステップ① 戦いごっこを継続させない

戦いごっこが起きてしまったとき、長い時間放置しておくと怪我のリスクを伴うだけでなく、貴重な遊びの時間を戦いごっこに消費してしまいまう機会損失のリスクも伴います。
子ども達にはもっと、美しい言葉に出会える絵本や、思いやりのある役割遊び、心が解放される美術の時間、じっくり思考する構造遊びなど 保育園で出会って欲しい世界がたくさんあります。
その世界を楽しむ時間的な機会を損失しない為にも、戦いごっこを長時間放置しておく事は私個人的にはしたくありません。
ただし原則として一方的な遊びの禁止はしません。

でも、禁止しないとエスカレートしますよ💦

もちろん、安易に容認もしません!
具体的なアクションを見てみましょう
まず、子ども達に明確な理由も説明せずに遊びを禁止する事は出来ません。
そんな事をしてしまえば信頼関係の構築はできませんし、子どもとの上下関係を作ってしまいます。子ども達とは出来るだけ横の関係でいたいと思えば禁止はできませんね。
だからこそ、それが起こらないようにしていく事が一番大切になると思います。
とはいえ、起こってしまったときの対応も考えておく事も必要です。
戦いごっこが発生してしまったらどうするのか。私がこれまで実際に試したものの中から、成功率が高かったアクションをピックアップして具体的な作戦を考えてみました。
これは「私(大人)がどう感じたか」を具体的に子ども達に伝えていく作戦です。

割と年齢が高い子や認知が高い子にはアイメッセージで大人の想いを率直に伝えると良いと思います。
例えば、、、
「遊びって分かってるけれど、いつも仲の良い二人が戦っているのを見るのは辛い気持ちになる」
「もし本当だったら、誰かが怪我をしてしまうような遊びだからちょっと怖い」
「もし、間違えて手が当たってどちらかが怪我をしてしまったら私も凄く悲しいから」
といった理由を正直に伝えて、子ども達に遊びの中断をお願いする事がその方法です。
ここで大切な事は、最後に遊びをやめるか否かをしっかりと子ども達が自分で判断して選べるような雰囲気がある事です。
本人が納得感を持って遊びを中断する事が出来れば、きっと次の遊びもすぐに見つかります。
逆に、納得感のないまま行動だけ抑制された場合は、次の遊びがみつけられずまた別の問題が起こる場合も多いように感じます。
これは、遊びの中に大人が入っていき別の遊びへと変換する作戦です。

年齢が低い子達や、興味の移り変わりが早い子は、この方法でどんどん違う遊びへと変換していくことが有効です♪
例えば海賊王になりきっている子に「一緒に船で冒険いかない?そうだ、魚釣りもしよう!」というような具合に、大人がユーモアたっぷりに遊びの方向性を変えてあげると、別の新しい遊びが始まるかも知れません。
バイクに乗るタイプのヒーローになっている場合は「そのヒーローはどんなバイクに乗っているの?」「あなたはどんなバイクに乗りたいの?」「町ではどんなバイクが走っている?」「一緒にバイクを作ってみる?(描いてみる?)」という具合に関心を移していけたら自然と戦いごっこを終結へと向かわせる事が出来るかもしれません。
戦いごっこをしている理由が、湧き出る運動欲求を満たしたいというニーズの場合は、別に体を動かす遊びを提案しても良いでしょう。

いつも同じ時間に戦いごっこが始まる場合は、運動欲求を満たしたいという可能性も視野に入れて・・・
ただし、幼児では自己コントロールも大切な課題です。動きたいからと、周りの遊びを邪魔するような鬼ごっこなどを室内などでしても良い訳ではありません。
例えば、
少し動きの大きいわらべうたに誘ったり、レストランごっこの「台車で料理を運ぶ」といった役に任命したり、長くつないだ線路に列車を走らせる(=粗大運動の要素がある)遊びに誘うなど、日常の中でも体を使う遊びは色々考えられます。
もちろん、クラスによっては幼児とはいえまだまだ粗大遊びコーナーの常設が必要な場合もあるかも知れません。
この他にも色々な作戦が考えられますが、やはり大切な事は大人が一方的に禁止をしない事です。
どんな形であれそれは子どもが選んだ遊びなのですから、頭ごなしに禁止はできません。(※ただし、凄く危険を伴う場合は、スピード感を持って中止を促す事が必要な時もありますね)
ステップ② 戦いごっこが起こる要因を分析する

そもそも、大人は子ども達に遊んで欲しい事・気が付いて欲しい事を大変意識して保育環境を作りますし、遊びの計画を立てると思います。
つまり、子ども達が戦いごっこをするようには環境が作られていないのはずです。
それでも、戦いごっこが起こるのにはやはり要因があると思います。以下に具体例を挙げてみましょう
- 遊びたいものが他にない
- スリルのある遊びを楽しみたい
- ヒーローという強いファンタジーの世界から戻って来られない。
- 子どもの興味の幅が極端に狭い
- 身体を動かしたい欲求を抑えられない
- 目につく場所にヒーローがいる
- 他の遊びに比べて、友達と遊べる成功体験が多い

他にも たくさん考えられますね。
とにかく、こんな風に要因をたくさん挙げていくステップが必要です。
要因が分かれば、対策をする事が出来ます。
要因が分からず対策も打てなければ、今後もあちらこちらで戦いごっこが発生し、それに毎回大人がステップ①のアクションを起こし続ける事になります。
1日の中で戦いごっこが何度も起こる、その度に保育士が介入する。という事を繰り返していく事は解決策として現実的ではありません。
やはり、要因をしっかりと解析してそれが起こらない方法を試していく「事前の対策」が必要です。
ステップ③ それが起こらない環境を構築する


要因まで分かれば、あとはそれを解決する方法を考えて試していくだけです!
とにかく、なんでも試してみましょう!だめなら次の作戦に移ればいいのです!
ちなみに、先ほど例に挙げた要因の一例を解決しようと思えば、、、
- 玩具の入れ替えを検討(変化のない棚になってない?)
- 玩具が発達に合っているかのチェック
- 魅力的に玩具を飾ってみる
- 一緒に遊ぶ事で他の遊びや玩具の楽しさを知ってもらう
- ルールが分からないボードゲームがあるのなら一緒に遊んでルールを伝える
- 子どもと対話し、遊びたい事(体験したことなど)をキャッチして一緒に遊ぶ
- 遊びを思いつけるように、壁面を飾ったり、シンボルを用意する
- カードゲームや、ボードゲームなど緊張とその緩和のあるゲームを充実させて一緒に遊んでみる
これは、1つの才能でもありますね。でも、ファンタジーの世界と現実をしっかりと行き来出来るようになれば、その子は今よりもっと安心してファンタジーの世界を楽しむ事が出来るようになります。
テレビの世界などでは、子ども達がファンタジーの世界から抜け出す経験というのはなかなかできません。でも、素晴らしい絵本は必ず、子ども達が現実の世界へ戻って来られる配慮があります。そういった絵本や物語にたくさん親しむ経験を繰り返す事も子ども達にしてあげられる事の1つです。
また、役割あそびの中で、ファンタジーの世界へ行ってまた現実の世界へ帰ってくるような経験も大切でしょう。
子ども達がファンタジーの世界へ行って、しっかりと帰ってくるという経験を遊びの中で何度も何度も繰り返す事で、その子はもっとファンタジーの世界を楽しむ事が出来るようになるかもしれないし、その才能を活かしてもっと別のファンタジーの世界を遊びだすかも知れません。
- 不思議だな、面白いなという感動を一緒に味わえる保育を計画
- その子の興味から始めて、知識の幅を広げていく
- 環境認識などの活動を通して興味の幅を広げる
- たくさんの遊びが経験できるように、大人から遊びに誘う
- 絵本や図鑑、壁面を利用して遊びのアイデアが思いつくようにしてみる
・保護者さんとも協力して、子どもが着てくるTシャツや小物など、出来るだけキャラクターやヒーローの描かれていないシンプルなものに変えてみる。
こんな策を実行してみるのはアリかと思います。もちろん、今回の件は個別性の強い話ですので子どもの数だけ答えがあります。
ここに挙げた例が上手くいかない事もあるでしょう。
でも、考え方は同じです!
大人がこどもの行動を禁止するのではなく、今回のような3ステップを踏みながら子ども達が戦いごっこ以上に楽しい遊びに出会えるように保育をコーディネートするのが私たち大人の大切なミッションです!

なんとなく解決の糸口がつかめた気がします!
出来そうなものからやってみます!

ポイントは、無理やりやめさせない事だったね。

そうでしたね。
子ども達が自分で納得してやめたり、他の遊びを選べるような支援をしてみます!
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