誕生日、お祝いしてあげたい!

エッセイ

少し早めに出勤をした朝、静かな事務所でゆっくり過ごしているところに、年中児のHちゃんという、とても活発で明るい女の子がやってきました。

Hちゃんは「今日は○○君のお誕生日でしょ!えっとね、私今日はね、お祝いしに来たの!楽しみだなぁ~」と目を輝かせながらお話をしてくれました。

「そうなんだね、○○君もきっと喜ぶと思うよ。友達をお祝いする事ってうれしいよね」とお返事を致しますと、

「だって私の誕生日のときもね、色々な人がお祝いしてくれたけどね、だけどね、全員じゃなかったの。それはちょびっとだけ寂しくてね、だからね、今日は○○君をお祝いしてあげるの」と自身の経験を踏まえて彼を祝いたい理由を教えてくださいました。

私は、自分の心がじんわりあたたまるのを感じていました。

心から素直に、なんて素敵なんだろうと思いました。こんなに小さな子が、だれかの為に行動するという事に、心から喜びを感じているのです。それはとても尊い事のように思います。

彼女は、こんなにも純粋でまっすぐな優しさを持ち合わせているのだと胸が熱くなりました。

私の働く保育園では異年齢保育を行っており、誕生会も日常の自由遊びの中で行っております。そのため、もちろん他の子がその会に参加するか否かも子ども達の自由であり、不参加という選択肢も認めております。そんなやり方を採用している自園の幼児クラスでは、誕生会に全員が参加するという方がめったにないレアなケースなのです。

特に、年少児さんはまだまだ自分の遊びの世界の方が大切でなかなか誕生会に参加しないという子も珍しくありません。それが、自分が誕生会をお祝いされて嬉しかったり楽しかった経験を経て、そしてお誕生会で友達を祝う事をうれしそうにしている年上の子をみたり、仲の良い子の誕生会に参加する経験を積み重ねて、年長児になるころにはほとんどの子が参加してくれるようになるという印象です。

そんなお誕生会のあり方には賛否もあると思いますが、私はこの会の在り方がとても好きなのです。クラスに良い雰囲気が流れているのが分かりますし、交友関係もわかります。今回の誕生会もとても素敵に進行していきました。

誕生日を迎えた子のために手紙を書く子、

絵をかいてプレゼントする子、

主役の好きなわらべうたをうたってあげる子、

場を美しく飾ってくれる子、

キッチンコーナーでケーキを作ってもってきてくれる子、

場に参加しておめでとうの言葉や拍手をくれる子

もちろん、その場を感じながら自分の好きな遊びを楽しむ子もいます。

それぞれが自分なりの参加の仕方で楽しんでいる、とてもいい空間だったと思います。誕生日の男の子の少し照れくさそうで、幸せそうな顔がとても印象的な会でした。

Hちゃんも、もちろん参加をしてくれました。そしてお誕生日の子を心からお祝いしてくれました。こんなに小さな子たちが、お互いに祝いあって喜んでいるというのはとても素敵な事だと思いますし、これからも大切にしていきたい時間であると改めて思いました。

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