絵本「三びきのやぎのがらがらどん」の魅力

名作絵本
ひとこと紹介

怖いトロルに立ち向かう、北欧昔話の金字塔!

季節

季節を問わず、年中読める!

こんな人におすすめ

・ゾワゾワ・ドキドキできる作品を探している。

・長く語り継がれる昔話に触れたい。

基本情報

せた ていじ
マーシャ・ブラウン
出版社福音館書店
おすすめ年齢4歳頃~
初版1965年7月1日
moma
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多くの人に長く愛される、ノルウェーの昔話を絵本にした作品だね!

あらすじ

3匹のヤギとトロルの勝負の行方は……?

橋の向こう側の山で、たくさん草を食べようと考えた3匹のヤギ。小さなヤギ、中ぐらいのヤギ、大きなヤギ、みんな名前は「がらがらどん」。橋をわたっている途中に谷に住むトロル(おに)にでくわしてしまいます。小さなヤギの機転によって、小さなヤギと中くらいのヤギはトロルから逃げて橋をわたることができました。いちばん大きくて強いヤギはトロルに勝負を挑みます。3匹のヤギは無事に橋をわたることができるのでしょうか?

三びきのやぎのがらがらどん|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)

みどころ !

1.古典作品ならではの訳表現

例えば

「あるとき、やまのくさばで ふとろうと、やまへのぼっていきました。」

という表現も面白いですよね。普通なら「おいしい草を食べる為に」などと表現しませんか?太りに行くという目的をそのまま訳しているのが素敵です。

「チョキン、パチン、ストン。はなしは おしまい」

これも深い意味はなく、お話の最後に何となくでいう「とっぴんぱらりのぷう」や「めでたし、めでたし」みたいな感じだと思ってもらえたら良いのかなと思います。

話が終わり、子ども達がファンタジーの世界から現実の世界に戻ってくるためのおまじないだという見方もあります。どうしても私たち大人はその意味が気になってしまうのですが、どちらにせよ深く考えずに楽しく読むのが正解だと私は思います。

moma
moma

子ども達は意外にすんなり表現を受け入れてくれますよ

2. 北欧の自然の力強さが表現された芸術性の高い絵。

1つページをめくるとノルウェーの自然が目の前に広がります。ゴツゴツした岩のある高い山にたくさんのヤギがいて、山からは長く蛇行しながら川が流れています。ダイナミックで素敵な絵はこの絵本の大きな魅力です。

登場人物も本当に力強く、生き生きと描かれており本当に芸術性の高さがうかがえます。

moma
moma

1ページずつゆっくり進めていきたいですね。

3. 乱暴な言葉にファンタジーとして出会う

「そんならとっとと消え失せろ!」

「つのでめだま くしざしに ひずめで にくもほねも こっぱみじんにして、トロルをたにがわへつきおとしました」

という表現。一見凄く乱暴なようでもしかしたら、避けたいと思う先生や保護者さんも多いかも知れませんが、生きていれば様々な言葉に出会います。乱暴な言葉にもいつか出会う日がきます。子ども達から全てを遠ざけることはできないと思います。

このような言葉にはファンタジーの中で出会っておくと、現実で誰かに向かって放つ事は少なくなるような気もします。色んな言葉に出会うけれど、その中で場面に応じてどんな言葉を選ぶのか。言葉を知らない事よりも、たくさんの言葉を知ったうえで優しい言葉を”選べる”ちからが大切なのかなと思います。

moma
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是非、そのままの表現で読みたいですね。

4. 怖いトロルにまた会いたくなる

トロルは怖いです。絵本の中でも悪い役です。でも、子ども達は実はトロルが好きでまた会いたいと思っているものです。怖いけど、見たい!そんなドキドキがこの絵本の醍醐味です。

トラウマとしてではなく、子ども達の心に印象的に残る良いキャラクターだなと個人的には思います。

moma
moma

魅力的なキャラクター達ですね!!

5. シンプルで分かりやすい展開

物語の展開は本当にシンプルです。「アンパンマン」くらいシンプルです。

3匹のヤギがいて、行く手を阻むトロルがいて、大きなヤギがトロルに立ち向かい退治する。というシンプルな物語なのでまた読みたくなるのです。

結果が分かりやすいので、怖いお話だけれどもどこか安心感をもって読み進めていく事ができます。

moma
moma

シンプルなお話なので、子ども達も展開を覚えて素話で話したりもしていますね!

レビュー・感想

このお話はジブリ映画「となりのトトロ」にも登場する事で有名です。さつきが「トトロって絵本でみたトロルの事?」と発言するシーンがあります。そのトロルはこのお話に出てくるトロルなんです!さらにエンディングのシーンではさつきとめいがお母さんに「三匹の山羊」という絵本を読んでもらっています。

こんな風にジブリ作品に登場した事でも注目を集めた物語ですが、これを絵本にして観るとまた迫力がありますね。特に、トロルのビジュアルは不思議な怖さがあります。

子ども達は何度でもこの本を「読んで」と持ってきてくれます。しかも、いつもドキドキ・ゾワゾワしながら見てくれるのが分かります。トロルは思ったよりも怖いビジュアルなのですが、この怖さが良いんだと私は思います。

「怖いんだけど、また読みたい!!」そんな魅力がある絵本だと思います。

またこのお話は、幼児の異年齢保育をしている園でもよく登場します。年少・年中・年長さんが一緒に過ごす異年齢という環境の中では”大きい子は小さい子を助けてあげる””小さい子は大きい子を頼る”という場面はたくさんありますが、それがこのヤギ達のようで子ども達も親近感を持てるのではないかと思います。

人生は思い通りにならない事がいっぱいあります。橋を渡りたいのにトロルがいる場面だってそうです。子ども達は絵本を通して、そんな困難な場面を乗り越える勇気や、力強く生きていく事への憧れを抱いていくのではないかと思います♪

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