ピアジェの認知発達理論で分かる「今はどんな力の獲得期?」

保育に役立つ心理学

今回のテーマは認知発達です。

認知とは、物事を認識・理解する心の働きです。

今回はスイスの心理学者、ピアジェの認知発達理論を簡単に振り返っていきます。

子どもの認知がおおよそどのような過程を通して育っていくのか一緒に確認していきましょう。

①感覚運動期

おおよそ0歳~2歳までは感覚運動期といいます。

この時期の子供は、感覚によって捉えられた物事に対して運動で反応する事によって環境に適応し、発達していきます。

生後7~9か月の子どもは、物の永続性が理解できるようになる。例えばぬいぐるみに毛布を被せて隠しても隠すところを見ていれば、子どもは毛布の下を探す事が出来ます。

そして、象徴機能が発達する。この象徴機能の獲得は感覚運動期の終わりを示す1つの指針である。

象徴機能の獲得は、遅延模倣が起きているかどうかを見る事で判断しやすくなる。

遅延模倣とは料理や電話をする保護者を、しばらく時間がたった後にお手本なしで再現する模倣遊びです。

②前操作期

概ね2歳~7,8歳までを前操作期といいます。この時期の子供は象徴機能が発達し、身近な大人をマネする遊びに没頭します。保育園に通う子どもが○○ごっこやおままごとをよく好むのはこの為です。

また、3~4歳の子どもにみられる特徴に、自己中心性があげられます。自己中心性とは子どもが他者の視点で物事をとらえる事が難しく、他の人も自分と同じ経験をしており、同じ感情を持っていると考える思考の特徴です。

「そんな事をして、ほかの人はどう思うか想像してごらん?」と言葉をかけても上手く想像できないのはこの時期の子供が自己中心性という思考の特徴をもっている為と理解しましょう。

そしてこの自己中心性の時期が終わり、脱中心化が始まるのが7歳ごろです。脱中心化は前操作期の終わりをを示す1つの指針です。

また、この時期に特徴的な思考として無生物にも人間と同じように命や意思、感情があると考えるアニミズム。すべての物が人間の為にあると考える人工論・主観的なものが実在すると考える実在論があげられます。

③具体的操作期

概ね7,8歳~11、12歳までを具体的操作期といいます。

この時期の子どもは目に見える具体的な物事について、論理的に操作(考える事が)できるようになります。ただし記号など現実にないものについては、まだ論理的に考える事はできません。

たとえば、見た目が変わっても足したり引いたりしなければその数・量・重さは変わらないと変わらないだろうと考える事が出来るようになります。この考え方ができるようになれば、保存の概念を獲得したといえる。

この機能の獲得を測るための有名な課題が液体保存の問題である。同じ量を水を様々な形の容器に入れてどれが多いかと質問すれば、具体的操作期の子供なら水の量は変わらないと答える事ができます。

また、思考の脱中心性が進むにつれて3つの山の課題に正しく答えられるようになります。

④形式的操作期

概ね11、12歳ごろからを形式的操作期といいます。

この時期の子供は、物の内容と形式(図形など)を区別し具体的な物事だけでなく、プロセスの問題や事実に反す実態や想定などについても論理的な思考ができるようになります。

「もしも○○なら△△だ」という仮定に基づいて考える事もできるようになります。これを仮説演繹的思考といいます。また、主観を組み替えずに論理だけで考える命題的思考も獲得します。

さらにあらゆる組み合わせを考える順列組合せ的思考ができるようになります。

まとめ

ピアジェの認知発達理論を用いれば、認知発達の見通しが持てるようになりますね。

子どもが今どの時期にいるのか。また、次は何が育つ時期なのかをしっかり見極めて関っていきたいですね。

特に保育士さんは前操作期の子どもが通常、自己中心的な思考が中心である事が普通であると知るだけで「なんで人の立場になって考えられないの!?」とイライラする事が少なくなるのかなと思います。

私も定期的に見直して保育を振り返っていこうとおもいます。それではまた、次の記事でお会いしましょう♪

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