MI理論とは何か
ーそもそもIQという1つの指数で人間の知能を測る事が出来るのか。ー
この問いについては様々な議論が展開されています。そこで注目されているのが、ハーバード大学のハワードガードナーによる多重知能理論(=MI理論)というものです。
この理論の中核にあるのは『人間は必ず複数の知能を持っている』そしてそれは、『人によってある知能が強かったり、弱かったりする』という考え方です。
MI理論=マルチプル・インテリジェンス理論の頭文字を取ったものだよ!
MI理論を知っておくと役に立つ?
知能についての研究は未だ完成はされていませんが、世界の教育現場に導入されているMI理論を知っておく事で子どもを見る視点が広がり、もっとその子の得意から教育を始める事ができます。
そこで今回はMI理論についてざっくり解説していきます。なんだか難しそうでよく分からないなぁ~という人は最後のまとめから見てみるのもおススメです!
それでは早速見ていきましょう!
8つの知能
MI理論では、人の知能を以下の8つに分類しています。
それでは、次の項目から、それぞれの知能について詳しく解説していきます。
音楽・リズム知能
- 様々な メロディー・リズム・ピッチ・音質 などを認識したり、識別したり、作り出したりする知能。
- 演奏・作曲・リズムを作る。また、リズムを再現したり音程を聞き分ける事が出来る。
子どもの姿
好き | ☆歌・ハミング・楽器・音楽を聴く、反応する |
得意 | ☆言葉の音の高低、リズム、音数に敏感。 ☆何かを覚える時にも自然にリズムや抑揚が付く。また、文章も自然と韻を踏んだりする |
論理・数学的思考
- 論理的なパターン、相互関係、仮説(仮説や因果関係)または、抽象的な概念に対応できる知能。
- 数字の意味を捉えて操作したり、何かを明快に論証したりする事が出来る。
好き | ☆明快な手順や目的、意図を持つ実験をする。 ☆計算をする ☆質問をする ☆数を遊びの課題にする ☆パターン(規則性や関係性)を探る |
得意 | ☆話や事実を受け入れる際、整合性に着目し「本当にそうか」 「別のパターンだとどうなるか」 等を考える事が出来る。 |
視覚・空間認知
- 空間及びその中に含まれるモノを的確に認識したり、その認識を自由に転換させたりする事が出来る知能。
- 色・線・姿・形・距離・場所等の要素それぞれにも、また複合的に組み合わせたものにも敏感に反応する事が出来る。
好き | ☆図や絵を描く ☆空想する ☆夢想する ☆組み立てる ☆設計する ☆絵や映像を見る |
得意 | ☆図を見た時、細部から全体までを映像として捉えるので、 何故かと言う問いに言葉で説明する事が難しいかもしれない。 ☆地図や図、グラフ等から気づく事、覚える事が多い。 |
言語・語学知能
- 話をする、文字を書く等言葉を効果的に使いこなす知能。また、人を説得したり情報を記憶したりする知能。
- 言語の配列や構造・音・意味・言葉の特質を巧みに使いこなす事が出来る。
好き | ☆文字や文を読む ☆書く ☆話をする。 |
得意 | ☆植物や人、昆虫などの名前を覚えるのが得意。 ☆また、些細なエピソードを覚えている事も! |
対人知能
- 他人の気持ち・感情・モチベーションを見分ける
- 表情・声・ジェスチャーに反応。人間関係における合図を読み取ったり、効果的に反応する事が出来る。
好き | ☆人と話す ☆友達を作る ☆グループに参加する |
得意 | ☆人の行動で自分に合うもの必要なものを見分けたり、 人と話をしながら自分の考えを整理する。 ☆その子の働きかけで周囲が活性化する事もある。 |
博物学的思考
- 身の回りにある事象を認識し、違いや共通点を見つける能力
- 自然現象に限らず、分類する視点を自ら作り出したり、一度分類したものを違う視点で再分類する事が出来る。
好き | ☆野外で動物といる ☆地理や気象 |
得意 | ☆種類が混在している情報を自分で視点を決めて分類できる。 ☆学習を別の教科や日常生活に応用できる。 |
内容的知能
- 長所、短所に関わらず自分自身について正確に把握し、その上で行動を起こせる。
- 自分を尊重したり、律したり、大切にする事で行動スタイルを決定する。
好き | ☆自分の関心を探究 ☆自分のペースで行動 |
得意 | ☆周りの事に気を取られず、自分の活動を続ける。また、興味や関心がわかれば、 自分から積極的に活動を進める。 |
身体・運動感覚知能
- 考えや気持ちを体をつかって表現したり、自分の手でモノを作ったり、作り替えたりする。
- 手先を器用に使ったり、体を使って取り組む
好き | ☆動き回る ☆実際に触ってみる ☆ボディランゲージ |
得意 | ☆運動神経が良い ☆手先が器用 ☆ 登場人物になりきったり、学んだ事を実践する事も得意 |
まとめ
いかがだったでしょうか。このMI理論の中核には、最初にも述べた通り「人によって各知能が強かったり弱かったりする」という考え方があります。つまり、人には必ず“得意な事”と“不得意な事”があるということです。当たり前ですが、忙しい保育や日々の子育ての中でつい見失ってしまいそうになりますよね。
これまで簡単にMI理論について解説してきましたが、あまり難しく考えずに「この子の得意な事は何だろう」と改めて考える際に1つの視点として是非、保育現場や子育てに活かしてみてください。
保育や子育ての中で、この子は「できる子」or「できない子」といった見方ではなく、「ここは苦手だけど、ここは得意かも知れない」という視点と余裕を持つ事で子育てや保育はもっと面白くなるのではないでしょうか☻
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