保育の偉人伝 『コメニウス』編

保育原理
moma
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コメニウスって知ってる?

あい先生
あい先生

なんだか怖そうなおじさんですよね…

moma
moma

確かに…少しとっつきにくそうだね。でも今回も、分かりやすくポップに彼の人生を紹介していくから、気楽に学んでみてね!

コメニウスはあだ名!?

そもそもコメニウスというのは本名ではありません。なんと、執筆活動目なのです!

moma
moma

本名は ヤン・アーモス・コメンスキー というんだ!

あい先生
あい先生

コメニウスは物書きだったのね!

そう、彼はもともと執筆家。

そんな彼がなぜ教育者になったのか。そこには少し悲しいストーリーがあるんです。

世界の教育の仕組みをたった1人で変えた悲しき天才の物語。スタートです。

コメニウスが教育者になった理由

そもそもコメニウスは若くして両親を亡くしています。そして彼が生きたのは16世紀。宗教混乱の時代でした。

カトリックとプロテスタントがキリスト教の考え方を巡って戦争をしていた時代です。

あい先生
あい先生

考え方が違うだけで戦争だなんて…

moma
moma

とても不安定な時代だったんだよ💦

そんな時代に生きた彼はある日、残虐行為を目の当たりにします。

それが第二プラハ窓外放出事件です。

あい先生
あい先生

なんだか物騒な名前の事件ですね💦

moma
moma

簡単に言うと宗教観の違いという理由だけで、3階から人が突き落とされたんだ…

この理不尽で残酷な事件を受けたコメニウスは悲しみに打ちひしがれます。

▶悲しみ過ぎて一旦は引きこもりになります。

そして引きこもり生活の中で「何故、世界はこんなに残酷なのだ…」的な事を考え続け、ある事に気づきます。そしてあの名言が飛び出るのです。

それが、

全ての知識の共有は戦争を終わらせ、ヨーロッパを1つにする。

コメニウス

この考え方は現在のユネスコにも引き継がれています。そしてこの考え方はコメニウスの教育観の核となる考え方となります。

moma
moma

ここから「すべての知識をすべての人へ!」を目指すコメニウスの挑戦が始まるんだ!

コメニウスの教育案

戦争を終わらせる為、全ての知識の共有が大切だと考えたコメニウスは、様々な教育案を提案していきます。今回は有名なコメニウスの功績を4つを紹介していきます。

  1. 学校教育の仕組みを構想
  2. 世界図絵の刊行
  3. 女子教育の大切さを説く
  4. 生涯教育の考え方。

それぞれについて少し詳しく見てみましょう

学校教育の仕組みを構想

彼は現代の学校教育の仕組みを丸ごと構想した人物です。彼は以下5つを構想しました。

コメニウスが考案した仕組み

①同一年齢

②同時入学

③同一学年

④同一内容

⑤同一卒業

あい先生
あい先生

今の学校教育の仕組みそのものですね!

moma
moma

そうなんだ。だから彼は近代教育学の祖と呼ばれているんだよ~

同一年齢の子ども達が同一入学をして同一学年として集い、同一内容を修業し、同一卒業していく、まさに現代の学校教育の仕組みそのものですよね。

そしてこの構想はまさに全ての知識の共有を可能にする仕組み!当時はすごく斬新なアイデアだったようです。

しかし…悲しきヒーロー、コメニウス…

義務教育制度がヨーロッパではじまるのは19世紀。実にコメニウスの死後300年の事です。彼の考えた制度は彼が生きているうちに評価される事はありませんでした。

世界図絵

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moma
moma

保育士として見逃せないのがこの世界図絵!なんと世界初の絵本なんだって!

あい先生
あい先生

すごい✨これが世界初の絵本なんですね!

子ども向けの教科書である世界図絵は今でいう“百科事典”のようなものです。

世界の事を“図”と“絵”で示しましたよ!という1冊。その内容は

  1. 無生物(生命の無い全般)
  2. 生物(動物・植物)
  3. 宗教
  4. 人間とその活動

の4テーマを扱ったものでした。本の中に絵を組み込む事は当時、かなりの革命だったようです。

本当に子どもを含む全ての人に知識を広めたい!わかって欲しい!勉強して欲しい!という熱い想いが画期的な1冊を生んだのです。

女子教育の大切さ

moma
moma

コメニウスは女子にも知識を学ぶ場が必要だと主張したんだ!

あい先生
あい先生

女子も教育を受けるなんて当たり前のような気もしますが…

moma
moma

それが…当時は学問というものは基本的に男性のものだったんだ…

コメニウスの思想は、とにかく全ての人が知識を共有する事が大切!というものでした。それは女子も例外ではなかったのです。

しかも!コメニウスは決して女子を下に等見ておらず、女子にも男性同等の能力がある。それどころかしばしば男子より優れた能力があると主張し、女子教育の必要性を説いたのです。これは当時かなり革新的な意見でした。

生涯教育

コメニウスはライフサイクル全般を通して生涯教育を初めて語った人物です。

今の時代は、当たり前に生涯学習社会の実現が目指されてますね!

moma
moma

そう!実はこれも、コメニウスが初めて世間に示してくれた考え方なんだ!

(コメニウスは、母親による教育から死ぬことへの準備まで、人は生涯学び続けるべきであるとしたのです。)

特によく聞くのが『母親学校』ですね。

これは母親を教師としてその膝の上で始まる教育の事です。

コメニウスは、人は小さい子どものうちから死ぬまで生涯をかけて学習をすべきと考えたのです。

コメニウスの言葉

この様に教育に大きなイノベーションを起こしたコメニウスですが、自身の本の中でこんな言葉を残しています。

教育なくして人間は人間になる事は出来ない

大教授学/コメニウス

これはコメニウスが自身の著書『大教授学』の中に記した言葉です。

あい先生
あい先生

インパクトのある言葉ですね

moma
moma

そうだね!でも。残酷な世界を生き抜いて教育の発展に尽力したコメニウスの人生を思ってみると、この言葉がとても重みを増してきませんか?

コメニウスの最期

コメニウスが教育者になったキッカケである宗教戦争はカトリックが勝利し、1627年7月にカトリックだけを国教とする法律が公布されました。

このため、プロテスタントだったコメニウスは長い逃亡生活を送る事になります。

その中で妻と子供を亡くすなど、どこまでも哀しい運命と戦いながらも、教育の発展に力を尽くし、提言をし続けたのです。

そして二度と母国に帰る事もなく、その生涯に幕を閉じました。


私たちが受けてきた当たり前の教育はコメニウスという一人の男が生涯をかけて、哀しい運命・残酷な世界に立ち向かい叫び続けた平和への願いそのものだったのです。

あとがき

いかがだったでしょうか。ただの偉そうなおじさんというイメージが変わって、コメニウスという一人の男を少し好きになった人もいるのではないでしょうか。

個人的には、この時代に男性でありながら女性教育の必要性を説いた事にその謙虚さや人間性が溢れている気がして好きなエピソーです。

そして、もともと教育の目的が「戦争を終わらせる為」であった事は驚きだった人も多いのではないでしょうか。

そして近代は大きな教育転換期だと個人的には思っています。

私たちが自分の中に「教育とはなにか」という問いを持ち続け、考えていく“哲学的な視点”がこれからの幼児教育を進めていく現場の先生には大切なのではないかなと個人的には思います。

コメニウスの意思を引き継いだ私たちが、次の教育を作っていく。そう考えると、保育士や教師という仕事はなんてロマンがあるんだろうと思います。

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