保育指針に沿った食育活動の実践例!

学びの備忘録

保育園での食育をどう考えていけば良いのか。また、具体的にどんな実践が考えられるのか。実際の保育園で行われているたくさんの実践の中から比較的取り入れやすいものをピックアップして紹介していきます!

※なお、本記事は楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~ を参考にし、表を引用しています。

食と健康

保育所保育指針の内容をチェック!

ねらい内容配慮事項
「食と健康」
①できるだけ多くの種類の食べものや料理を味わう。

②自分の体に必要な食品の種類や働きに気づき、栄養バランスを考慮した食事をとろうとする。

③健康、安全など食生活に必要な基本的な習慣や態度を身につける。
①好きな食べものをおいしく食べる。

②様々な食べものを進んで食べる。

③慣れない食べものや嫌いな食べものにも挑戦する。

④自分の健康に関心を持ち、必要な食品を進んでとろうとする。

⑤健康と食べものの関係について関心を持つ。

⑥健康な生活リズムを身につける。

⑦うがい、手洗いなど、身の回りを清潔にし、食生活に必要な活動を自分でする。

⑧保育所生活における食事の仕方を知り、自分たちで場を整える。

⑨食事の際には、安全に気をつけて行動する。
①食事と心身の健康とが、相互に密接な関連があるものであることを踏まえ、子どもが保育士や他の子どもとの暖かな触れ合いの中で楽しい食事をすることが、しなやかな心と体の発達を促すよう配慮すること。

②食欲が調理法の工夫だけでなく、生活全体の充実によって増進されることを踏まえ、食事はもちろんのこと、子どもが遊びや睡眠、排泄などの諸活動をバランスよく展開し、食欲を育むよう配慮すること。

③健康と食べものの関係について関心を促すに当たっては、子どもの興味・関心を踏まえ、全職員が連携のもと、子どもの発達に応じた内容に配慮すること。

④食習慣の形成に当たっては、子どもの自立心を育て、子どもが他の子どもとかかわりながら、主体的な活動を展開する中で、食生活に必要な習慣を身につけるように配慮すること。

保育実践例

①子どもの生活習慣を整える

まずは、子ども達が正しい生活習慣で日々を過ごせる事を目指します。朝しっかりと目覚めて、朝ごはんを食べ、そして午前中に十分に体を動かして遊ぶ事で昼食時にしっかりとお腹がすいている状態になっているかどうかを確認しましょう。

②食事の環境を作る

私たちのクラスでは、季節によっては子ども達が園庭で摘んできた花を食卓に飾ったり、子ども達とテーブルを動かしたりして昼食の環境を作る事もあります。

③子ども達との会話

メニューの名前・どんな食材が使われているかを配膳の際に子ども達に伝えるようにしています。また、その食材にはどんな栄養素が含まれていて、それが私たちの身体にどんな影響を与えるのかをお話する事もあります。そんな日々の積み重ねで子ども達も少しずつ、苦手な食材へ興味をもっていけるようにしています。

食と人間関係

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ねらい内容配慮事項
「食と人間関係」
①自分で食事ができること、身近な人と一緒に食べる楽しさを味わう。

②様々な人々との会食を通して、愛情や信頼感を持つ。

③食事に必要な基本的な習慣や態度を身につける。
①身近な大人や友達とともに、食事をする喜びを味わう。

②同じ料理を食べたり、分け合って食事することを喜ぶ。

③食生活に必要なことを、友達とともに協力して進める。

④食の場を共有する中で、友達との関わりを深め、思いやりを持つ。

⑤調理をしている人に関心を持ち、感
謝の気持ちを持つ。

⑥地域のお年寄りや外国の人など様々な人々と食事を共にする中で、親しみを持つ。

⑦楽しく食事をするために、必要なき
まりに気づき、守ろうとする。
①大人との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人とかかわる基盤となることを考慮し、子どもと共に食事をする機会を大切にする。また、子どもが他者と食事を共にする中で、多様な感情を体験し、試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう、子どもの行動を見守りながら適切な援助を行うように配慮すること。

②食に関する主体的な活動は、他の子どもとのかかわりの中で深まり、豊かになるものであることを踏まえ、食を通して、一人一人を生かした集団を形成しながら、人とかかわる力を育てていくように配慮する。また、子どもたちと話し合いながら、自分たちのきまりを考え、それを守ろうとすることが、楽しい食事につながっていくことを大切にすること。

③思いやりの気持ちを培うに当たっては、子どもが他の子どもとのかかわりの中で他者の存在に気付き、相手を尊重する気持ちを持って行動できるようにする。特に、葛藤やつまずきの体験を重視し、それらを乗り越えることにより、次第に芽生える姿を大切にすること。

④子どもの食生活と関係の深い人々と触れ合い、自分の感情や意志を表現しながら共に食を楽しみ、共感し合う体験を通して、高齢者をはじめ地域、外国の人々などと親しみを持ち、人とかかわることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにする。また、生活を通して親の愛情に気づき、親を大切にしようと
する気持ちが育つようにすること。

保育実践例

給食室の先生と親しむ機会を

年度の初めに計画をする事が多いのですが、給食室の先生にインタビューをしたり、その仕事を知る事が出来るような活動を計画します。この活動の後から、子ども達も給食室という場所、そこで働く大人へ関心を向けるようになることが多いです。

マナーの存在を伝える

ルールとして決めるというよりも「相手の為にこうしてくれる?」と子ども達にお話しをし、マナーが守られている場合には「ありがとう」と感謝を添えるようにしています。

地域の方と食事を

私たちの園では毎年、田植えを体験します。その際、田植えを教えて下さる地域の方と一緒に、田植え後に赤飯を頂く事がお決まりになっています。

食と文化

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ねらい内容配慮事項
「食と文化」
①いろいろな料理に出会い、発見を楽しんだり、考えたりし、様々な文化に気づく。

②地域で培われた食文化を体験し、郷土への関心を持つ。

③食習慣、マナーを身につける。
①食材にも旬があることを知り、季節
感を感じる。

②地域の産物を生かした料理を味わ
い、郷土への親しみを持つ。

③様々な伝統的な日本特有の食事を
体験する。

④外国の人々など、自分と異なる食
文化に興味や関心を持つ。

⑤伝統的な食品加工に出会い、味わ
う。

⑥食事にあった食具(スプーンや箸な
ど)の使い方を身につける。

⑦挨拶や姿勢など、気持ちよく食事を
するためのマナーを身につける。
①子どもが、生活の中で様々な食文化とかかわり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その文化に関心を持ち、自分なりに受け止めることができるようになる過
程を大切にすること。

②地域・郷土の食文化などに関しては、日常と非日常いわゆる「ケとハレ」のバランスを踏まえ、子ども自身が季節の恵み、旬を実感することを通して、文化の伝え手となれるよう配慮すること。

③様々な文化があることを踏まえ、子どもの人権に十分配慮するとともに、その文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるよう配慮する。また、必要に応じて一
人一人に応じた食事内容を工夫するようにすること。

④文化に見合った習慣やマナーの形成に当たっては、子どもの自立心を育て、子どもが積極的にその文化にかかわろうとする中で身につけるように配慮すること。

保育実践例

旬の食材を知る活動を行う

季節の変り目には次の季節が感じられる遊びを準備しています。例えば手作りのカードやすごろく遊びを通して、子ども達は次の季節が知れるような遊びをします。子ども達はこういった遊び(=課題あそび)を通して、季節の特徴や旬を知り、実際に給食で旬の食材が出てきたときに強い興味や関心が持てるような工夫をしています。また、時には給食以外の場面でも食体験を計画します。

行事として食文化に親しむ

餅つきや、梅仕事、干し柿作りなど日本の食文化に親しむ事ができるような活動も計画していきます。

また、クリスマスの時期などには海外の文化や食べ物の掲載された図鑑や雑誌を部屋に飾ったりすることもあります。

いのちの育ちと食

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ねらい内容配慮事項
「いのちの育ちと食」
①自然の恵みと働くことの大切さを知り、感謝の気持ちを持って食事を味わう。

②栽培、飼育、食事などを通して、身近な存在に親しみを持ち、すべてのいのちを大切にする心を持つ。

③身近な自然にかかわり、世話をしたりする中で、料理との関係を考え、食材に対する感覚を豊かにする。
①身近な動植物に関心を持つ。

②動植物に触れ合うことで、いのちの美しさ、不思議さなどに気づく。

③自分たちで野菜を育てる。

④収穫の時期に気づく。

⑤自分たちで育てた野菜を食べる。

⑥小動物を飼い、世話をする。

⑦卵や乳など、身近な動物からの恵みに、感謝の気持ちを持つ。

⑧食べ物を皆で分け、食べる喜びを味わう。
①幼児期において自然のもつ意味は大きく、その美しさ、不思議さ、恵みなどに直接触れる体験を通して、いのちの大切に気づくことを踏まえ、子どもが自然とのか
かわりを深めることができるよう工夫すること。

②身近な動植物に対する感動を伝え合い、共感し合うことなどを通して自からかかわろうとする意欲を育てるとともに、様々なかかわり方を通してそれらに対する親しみ、いのちを育む自然の摂理の偉大さに畏敬の念を持ち、いのちを大切にする気持ちなどが養われるようにすること。

③飼育・栽培に関しては、日常生活の中で子ども自身が生活の一部として捉え、体験できるように環境を整えること。また、大人の仕事の意味が分かり、手伝いなどを通して、子どもが積極的に取り組めるように配慮すること。

④身近な動植物、また飼育・栽培物の中から保健・安全面に留意しつつ、食材につながるものを選び、積極的に食する体験を通して、自然と食事、いのちと食事のつながりに気づくように配慮すること。

⑤小動物の飼育に当たってはアレルギー症状などを悪化させないように十分な配慮をすること。

保育実践例

菜園活動をする

私たちの園でも、以前は地域の方の畑を借りて種まきと収穫を体験させて貰っていましたが、より自分たちで主体的に野菜を育てたり、収穫の時期に気が付ける事を大切にしたくて畑をプランターを用いた菜園に切り替えました。

園庭に隣接する形でいつでも自由に見に行ける菜園コーナーを設置した事でこども達もより関心を抱いています。

料理と食

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ねらい内容配慮事項
「料理と食」
①身近な食材を使って、調理を楽しむ。

②食事の準備から後片付けまでの食事づくりに自らかかわり、味や盛りつけなどを考えたり、それを生活に取り入れようとする。

③食事にふさわしい環境を考えて、ゆとりある落ち着いた雰囲気で食事をする。
①身近な大人の調理を見る。

②食事づくりの過程の中で、大人の
援助を受けながら、自分でできるこ
とを増やす。

③食べたいものを考える。

④食材の色、形、香りなどに興味を持
つ。

⑤調理器具の使い方を学び、安全で衛生的な使用法を身につける。

⑥身近な大人や友達と協力し合って、調理することを楽しむ。

⑦おいしそうな盛り付けを考える。

⑧食事が楽しくなるような雰囲気を考
え、おいしく食べる。
①自ら調理し、食べる体験を通して、食欲や主体性が育まれることを踏まえ、子どもが食事づくりに取り組むことができるように工夫すること。

②一人一人の子どもの興味や自発性を大切にし、自ら調理しようとする意欲を育てるとともに、様々な料理を通して素材に目を向け、素材への関心などが養われるようにすること。

③安全・衛生面に配慮しながら、扱いやすい食材、調理器具などを日常的に用意し、子どもの興味・関心に応じて子どもが自分で調理することができるように配慮す
ること。そのため、保育所の全職員が連携し、栄養士や調理員が食事をつくる場面を見たり、手伝う機会を大切にすること。

保育実践例

年に数回の簡単なクッキングを計画

年に数回、簡単なクッキングを計画して料理に親しむ事が出来るようにしています。

食育は、日常の遊びから

食育というと、何か特別な活動を計画しなければならないようなイメージがある方も多いと思いますが、実際は日常の声かけや関わりを意識する事がとても大切になっていきます。

もちろん、園の条件次第では

  • 園で大きな畑を持所有する
  • 鶏を飼っていて、卵を収穫する
  • 給食に多くコストを掛け、こだわる
  • 果物の成る木を園庭に植える

など、活動の幅を広げていく事もいいかと思います。

ですが大胆な活動ができなくても、日々の暮らしの中で食事の場面がどう扱われるのかをしっかりと考えていく事で、子ども達にとって身近なところから食育活動を展開してく事は可能です!

日々の給食や食にか関わる活動がどんな雰囲気で営まれ、大人がそこでどんな言葉を使うのか。子ども達にどんな事に気が付いてほしくて、どんな時間を過ごしてほしいのかをしっかりと考えられ、それが園全体で共有さて、連携が取れているか。といった事がとても大切になってくると思います。

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