この記事は前回の記事の続きになります

前回の記事では、以下の3つのポイントを確認しましたね!
- 好き嫌いの克服には時間がかかる場合もある。
- 在園中に全ての好き嫌いを克服させるのは現実的じゃない。
- 大人は長期的な視点で見守る事が大切

子どもの興味・関心が高まるタイミングを『待つ』という選択肢が出来ました!
「小学校で困らないように」という理由で6歳までに苦手を克服させたいと思う先生も多いと思いますが、そこに向かって頑張る事は、データをみても現実的じゃない事が分かりましたね。
とはいえ、子ども達が食材に興味・関心を持つ機会をゼロにして良いわけではありませんね。子どもによっては大人の関わりを手掛かりに、食材に興味を持って苦手を克服して卒園していく子もいます。
そのような子が克服の機会を損失しないように、私たちには何が出来るのでしょうか?
大人にできる4つの事
- 完食にこだわらない!
- 日常で食育活動を計画する!
- 共食のメリットを最大限に活かす!
- 子どもの興味を待つ!しっかりと待つ!
保育園の給食場面では、この4つを意識するだけで、好き嫌いが多い子へ上手に対応していく事が出来るとおもいます。
無理強いも、放任もしない為に、大人にできる事を具体的に見ていきましょう!

私たちのクラスでどんな支援をしているのか紹介していくよ。
無理強いをしない事は前提

前提として、無理強いをしてはいけません。最近は子どもの人権を尊重する事を大切にする園も多くなってきているので、無理強いをする先生は少ないかとは思いますが、本記事では改めてこの事を強調しておきたいと思います。
- 子どもの口に無理やり食材を押し込む
- 食べないと○○させないよと脅す
- 食べなさい!と強い口調で強要する
こういった関わりは、すべて逆効果です。
指針にも明記されているように、子ども達は大人から練習させられて食べられるようになるのではなく、自分の関心を始点に、少しずつ苦手な食べ物に興味を示し挑戦しようとする姿が表れてきますし、大人もそのタイミングをしっかりと待ってあげる事が大切になってきます。
年少では、苦手なものを取り除く。

まずは、食事の場面がとても落ち着いていて安心出来て楽しいものである事を大切にしていきます。特に進級したての年少さんへは、今日のメニューは何で、その中にはどんな食材が使われているのかを実際に食事を盛られたお皿を見ながら説明していきます。
そして、苦手なものはない?と聞きます。
もし、苦手なものがあればはじめに取り除いてしまいます。そうする事で、出されたものを完食する事が習慣になっていきます。
また、食事の時間を楽しみにしてくれる子も多くなります。
この2つは、とても大切なステップなので丁寧に踏んでいきます。
食わず嫌いの場合は、味見で量を決定する

見た目が苦手。 初めてだから苦手。 緑色だから食べたくない。
などという理由で子ども達が食わず嫌いをしている場合は、その食材をスプーンに乗るだけ(一口量だけ)子ども達に味見してもらう事をしています。
そして「はじめに少し味見してみて、どんな味か教えて!美味しかったらたくさん盛るし、苦手だったら盛らないよ!」と約束をします。
もし、匂いや見た目が生理的に受け付けられず、味見も拒む場合は無理強いしません。
この味見作戦は意外と有効で、「食べてみて!」と言われるより、食材を口に運ぶハードルは下がるようです。実際、この味見をもとに「やっぱり美味しかったからもっと頂戴!」と言われる事も結構あります。
メニューと一緒に、含まれる栄養の話などをしていく

苦手なものを取り除いて食べる事で楽しい食事場面を重ねつつ、普段の保育の中では「給食の先生に話を聞く」「実際に野菜を育てる」「クッキングを通して食に興味を持つ」などの活動をしっかり展開していきます。
そうして、次第に
「今日はトマトが入っているね!トマトにはリコピンが含まれていてあなたのお母さんみたいにとってもお肌が綺麗になるのよ!」
「今日は魚だね!お魚を食べると、とっても骨が強くなっていくのよ」
のような話しをしながら給食を盛っていきます。
そうして日々を過ごす中えで、徐々に「少しだけなら食べてみる!」という発言が見られるようになってくる子もいます。そのタイミングを根気よく待ってあげてください。年長になる頃にそんな姿が見られたらとても嬉しいですね☆
友達が食べている姿に注目させる

「ブロッコリー減らして」と一人の子がいうと、すかさず隣の子が「先生みて!私ブロッコリー食べられるんだよ!」なんていう光景が年少さんだとよく見られますね(笑)
そんな時「本当!美味しそうね!ビタミンCたっぷりだから、風邪を引きにくくなるのよ!」なんてお話をしながらその姿を一緒のテーブルに座っている子と喜び合います。
そんな姿を見ているうちに、今までブロッコリーが苦手だった子も一緒になって「私も食べてみるよ!みてて!」なんて言ってくる事もあります。
これは共食がもたらす大きな力だと思います。
食べやすく提供してみる

大人の働きかけでせっかく子ども達が苦手な食材に興味をもってくれても、食べにくい給食であれば子ども達もテンション下がってしまいます。
給食の問題は、しっかりと給食室とも連携をとる事が大切になってきます。毎回多くの子にとって苦痛となるメニューがある場合はメニュー自体の見直しも必要かもしれません。
また、調理法や提供の仕方を工夫する事で、苦手な食べ物が子ども達にとってグっと身近になる事も多いです。
例えばトマトが苦手な子も、柔らかい部分を取り除き外側を細かく切って提供してみるなどの工夫で食べやすくなるかもしれません。
まとめ

私たち大人にできる事はたくさんあるのね!

食卓の悩みを、その食卓の場だけで解決しようとしない事がポイントだよ!
総合的に、長期的な視点を持って関わっていこう!
これはあくまでも、私たちのクラスではこうしているという例の一部ですが、参考になれば幸いです!
繰り返しになりますが、好き嫌いに関しては焦らない事が大切ですし「苦手の克服」に大人が拘りすぎない事も大切です。
園全体で、給食場面をどのように捉え、何を大切にしていくべきなのかを定期的に見直していきたいですね!
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