幼児期にふさわしい運動とはどういったものなのでしょうか。
元気に走り回っていればいいというものではありません。
かといって子どもの発達に合わない運動は子どもの身体にはもちろん情緒にも大きな負担となってきます。例えば他の子どもより、高度な身体運動をさせる保育が流行ったこともありましたが、それが幼児期にふさわしい運動であったとは言えないわけです。
自然な動きとは?
自然な動きとは、人類の進化の過程で身につけていった動きをさします。
具体的には
- はいずる
- 四つ這い
- すべる
- 歩く
- はしる
- 段をあがる
- 段を下りる
- 投げる
- 持つ
- 叩く
- 引っ張る
- 押す
- 跳ぶ
- 転がる
- 揺れる
などがあげられます。
運動遊びを設定したり、体操を考える時にはこれらの動きから、内容を考えていくとより専門性の高いものになると思います
幼児期に十分運動する事のメリット
- 身体組織の成長を助ける
- 臓器の機能も向上させる
- 病気の予防
- 健康習慣の促進
- 移動や空間認知の獲得
- 姿勢認知の獲得
- 人格における意思の形成
幼児期に、発達に合った運動する事にはこの様にたくさんのメリットがあります。
運動が不足していると
例えば、とても短い時間しかハイハイやずり這いを行わなかった場合
方向認知や姿勢認知の問題が出てしまう。
特に空間認知
特に空間認知に関する不安定さは子どもの振る舞いと、学習能力の両方に影響を及ぼします。
運動遊びを積極的に
運動が大切なのはわかったけれど、本当にわざわざ時間を作って運動遊びをしなければならないのでしょうか。
日常生活の中に色んな動きがあるし、毎日お外で遊ぶ時間もとっているからわざわざ運動遊びの時間を取り入れるなんて必要ないと思う気持ちも分かりますが、それでも私は運動遊びをすすめます。
なぜなら、近年は運動発達が欠けていたり跳び抜かしてしまうケースが多いからです。例えば、「はいはいせずに、お尻で進み始めてしまった」「歩き始めが早くハイハイの経験が異常に少ない」など珍しい話ではありませんよね。
しかし、これらの発達の跳び抜かしがその後の人生に及ぼす影響は大きいものです。
そこで、運動遊びの出番です。普段の生活や遊びではする事の少ないハイハイ等の動きをここで取り戻していく事で就学後に現れる発達の跳び抜かしを原因とする困難を軽減する事が出来ます。
また神経組織の相互関係から見ても基礎的な運動遊びがその他の領域・分野の発達も促していく事は明らかです。
例えばこんなケース
落ち付きがなく、他動的な子どもは運動能力はきちんと発達していると誤解されがちです。しかし、反対に運動に関するたくさんの能力が不足している場合も多くあります。例えば
- バランス感覚の悪さ
- 身体像(ボディーイメージ)の未獲得
- 方向感覚の欠如
- 運動調整力の課題
- 集中力の弱さ
これらに課題がある場合です。
これらに課題がある場合、発達に合った運動を提案していくまたは遊びに盛り込んでいく事が求められます。
発達に合った運動遊びというのは子どもにとって程良い難しさであり、遊びとしても程良い難易度となる為、子どもにとっても楽しいものです。
コツはまんべんなく経験させる事
跳び箱◯段!
等と目標を立ててそればかり練習したり特定のスポーツばかりさせるのではなく基本的な動きをまんべんなく経験出来るよう考える事が幼児期の運動遊びの考え方になります。
まとめ
運動遊びでは様々なうごきを経験できます。
子どもは苦手な動きを遊びの中でも無意識に避けていきますが、面白そうな道具や、自分に合ったモデルを見ながら楽しく行う運動遊びの中では積極的にチャレンジする姿も多くみられます。
様々な動きを経験していく中で基本的な動きをしっかり身につけてその後(学童期以降)の発達をスムーズにできるよう運動遊びを保育の中に取り入れていく事は現代保育の必須条件となりつつあります。
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