ハヴィガースト発達課題論はの中心となるのは【発達課題】という考え方、概念です。これは人間が健全な発達を遂げる為に、各発達段階で達成しなければならない課題の事を言います。
「この発達課題を達成する事で人は発達していく」というのが、ハヴィガーストの理論です。
課題を解決しながら生きる事が出来れば、その後に待っている課題も上手く解決する事が出来、それが人生の幸福に繋がっていく。
反対に達成されなければ、社会的に認められず、その後の課題を達成していく事も難しくなる。
というのが、この理論の基本的な考え方です。
とはいえ、これも一つの発達心理学に基づく理論の1つ!気楽に学んでいきましょう♪
乳児期・幼児期
誕生から6歳頃までを指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- 歩く事を学ぶ
- 硬い食べ物をたべる事を学ぶ
- 話すことを学ぶ
- 排せつをコントロールする事を学ぶ
- 性の違いと、性に結び付いた慎みを学ぶ
- 概念を形成し、社会的現実と物理的現実を表す言葉を学ぶ
- 読むための準備をする
- 良いこと・悪い事の区別を学んで良心を発達させはじめる
- 善悪の区別・良心の学習
児童期
概ね6歳~12歳頃までを指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- 普通のゲームをするのに必要な身体的スキルを学ぶ
- 成長している生物としての自分について健全な態度を築く
- 同じ年ごろの仲間と上手く付き合っていく事を学ぶ
- 男性あるいは女性としての適切な社会的役割を学ぶ
- 読み、書き、計算の基本的スキルを学ぶ。
- 日常生活に必要な概念を発達させる
- 良心・道徳心・価値基準を発達させる
- 個人的な独立心を形成する
- 社会集団と社会制度に対する態度を発達させる
青年期
概ね12歳~18歳頃までを指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- 男性・女性としての社会的役割を獲得する
- 同性と異性の同じ年ごろの仲間との間に、新しい、そしてこれまでよりも成熟した関係をつくり出す
- 自分の体つきを受け入れて身体を効果的につかう
- 両親や他の大人からの情緒的独立をたっせいする
- 結婚と家庭生活の為に準備をする
- 経済的なキャリアに備えて用意する
- 行動の基準となる価値と倫理の体系を習得する(イデオロギーの発達)
- 社会的世紀人を伴う行動を望んで成し遂げる
成人前期
概ね18歳~30歳頃までを指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- 配偶者を選ぶ
- 結婚した相手と一緒に生活していく事を学ぶ
- 家族を形成する
- 子どもを育てる
- 家庭を管理する
- 職業生活をスタートさせる
- 市民としての責任を引き受ける
- 気の合う社交グループを見つけ出す
中年期
概ね30歳~60歳頃までを指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- ティーンエイジに達した子ども達が、責任を果たせて、幸福な大人になる事を助ける
- 成人としての社会的責任と市民としての責任を果たす
- 自分の職業生活において、満足できる業績を上げてそれを維持していく
- 成人に相応しい余暇時間の活動を発展させる
- 中年期に生じてくる生理的変化に対応してそれを受け入れる
成熟期
60歳以降を指すこの時期はの発達課題は以下の通りです。
- 体力や健康の衰えに対応していく
- 退職と収入の減少に対応していく
- 配偶者の死に対応する
- 自分と同年齢の人々の集団にはっきりと仲間入りをする
- 社会的役割を柔軟に受け入れてそれに適応する
- 物質的に満足できる生活環境をつくりあげる
まとめ
いかがだったでしょうか。なかなか具体的な表現で発達課題が示されていましたね。
この理論を提唱した教育心理学者のロバート.j.ハヴィガーストは、発達課題をはじめて提唱した人物としても有名です。
ハヴィガーストが発達課題論を発表したのちエリクソンなどの様々な心理学者が、多様な発達課を提言していて、その内容も一様ではありません。
ハヴィガーストの理論の中には、”結婚”や”家族の形成”に具体的な言葉で言及しています。そのため、「同性愛者は幸せになれないのか」「子どもが出来ないと幸せといえないのか」といった反論もありますが、そうではありませんよね。
分かりやすく具体化してあるが故に、すべての人生に当てはまる課題ではないかも知れません。それでも、この理論の本質を見ればまた違った見え方が出来るでしょう。多様な幸せがある事は、前提です。
そのうえで、「生涯を通しての発達課題がある」という考え方を発明した事はハヴィガーストの大きな功績といえるでしょう。
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